公益社団法人さいたま緑のトラスト協会

理事長挨拶

トラスト運動はイギリスで生まれたかけがえのない貴重な自然や歴史的環境をみんなで保全する運動です。

埼玉県は首都圏の中でも東京都に隣接しているため急激に人口が増加し、現在では740万人に達しています。また、戦後間もなくから住宅や工場、商業施設などが集積し、貴重な自然や里地・里山の景観が少なくなっています。そのため、埼玉県にもトラスト運動が紹介され、1984年に見沼田んぼの斜面林が1号地として誕生して以降、トラスト地は貴重な河畔の自然や里山、沼や湿地、雑木林、屋敷林など現在14カ所に上っています。これらは現在私たちの身近に残された数少ない伝統的かつ自然豊かな空間であり、その保全は極めて重要です。

しかしトラスト地はただ保全するだけでは意義が半減します。高度に人工化された都市や都市近郊で暮らす私たちはトラスト地の自然に接することによって本来の人間性を取り戻すことができます。子供の頃近くの屋敷林で遊んだ私自身、トラスト地を訪れるとホッとします。トラスト地で遊び、学ぶことは子供たちを、自然をいつくしみ情操豊かで感受性の強い人に育てると思います。多くの人がトラスト地に足を運んでくださるようお願いいたします。

ところで、私たちの管理するトラスト地の大部分は昔の人々の日々の暮らしがにじみ出ている空間です。したがって、伝統的な暮らしに近い管理が必要です。そこでどのトラスト地においても地域の人々を中心とするボランティアの皆さんによって定期的に適切な管理が行われています。是非ボランティアとして私たちの運動にご参加ください。きっと人工化された地域では見られない四季折々の自然の姿に感動するばかりでなく、一緒に汗する仲間との新しい絆が生まれると思います。

私は40年以上にわたって山地災害や森林環境にかかわる研究・教育に携わりました。その後も防災のほか森林やみどりの保全に関わる行政や市民活動にかかわってきました。その経験を活かし、微力ながら皆さんと共に埼玉の自然や環境の保全に取り組んでいく所存です。トラスト地の保全活動を支援するさいたま緑のトラスト協会の活動に是非ご協力ください。

                                       

 
公益財団法人さいたま緑のトラスト協会
理事長 太田 猛彦

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